稲
ダイジェスト&ギャラリー
11 SHOTS【作品について】
家族皆が巣立った実家で、母と過ごす禁断の関係の日々―。稲森雅
静寂に包まれた実家で、母と紡ぐ秘密の時間。
掃除の済んだ仏間。遠くで風鈴が鳴る。家族の気配はもうない。 母が淹れた麦茶を啜る。冷たい汗が背中を伝う。膝の上で指が震える。 「あんたも大人になったね」 母の指が、髪を撫でる。その手が首筋に触れる。固まる身体。 布団を敷く音。隣室の物音に耳を澄ます。電気を消す。闇の中で、自分の鼓動だけが響く。 ふと、襖の向こうで衣擦れの音。息を殺す。 「寝た?」 声のない問い。しばらくして、静かに襖が開く。母のシルエット。 「怖い夢を見たの」 その声は震えていた。布団の中に滑り込む温もり。背中に触れる柔らかな感触。 もう戻れない。この家の静寂が、二人を飲み込む。
- ▸空き部屋の軋む音
- ▸夕暮れのキッチン
- ▸触れ合う指先










